2020年05月11日

vol.198 「ウイルスに負けない生き方を読んで」

 皆さんの新型コロナウィルスはいかがでしょうか?いろいろな報道があり困惑している方も多いのではないでしょうか?私自身も医療人として可能な防護策はしているつもりですが、やはり最終的に必要なことは「免疫力を上げること」だと思っています。

 昨日書店で「ウイルスに負けない生き方」という本を購入しました。著者は高知大学附属病院の教授・刈谷真爾先生です。報道のどこが問題か?我々がすべきことは何か?などがとてもわかりやすく書かれています。その中から特に大切な部分をご紹介したいと思います。

 中国政府が2020年1月にこの新型コロナウイルスによる死亡率が14〜16%と発表したことが、世界の医療関係者に衝撃を与えました。しかし、その後2月には3〜4%と修正され、武漢市以外の中国における死亡率は0.7%であり、武漢市のある湖北省の患者を全部除けば、死亡率は0.4%だそうです。インフルエンザでは毎年数10万人が亡くなっており、0.1〜2.8%の死亡率だそうです。さらによく知られているように無症状の感染者が多いと言われているこのウイルスですが、死亡率の計算が診断された患者さんのみで行われているため、診断されないまま治ってしまった患者さんを無視した数字になっているということなのです。

 次にマスクによる予防について考えてみます。アメリカ疾病予防管理センターの話では発症していない人がマスクを着用する意味は薄いと述べているそうですが、本当にそうでしょうか?屋外で人と人との距離がある場合には必要ないように感じますが、マスクをしていないときに比べマスクをしている方が口の周りの体温が上がり、ウイルスに対する防御に有利だそうです。さらに、ウイルスは湿度が上がると感染力が弱まることが知られています。自転車に乗っていると私の場合かなりのどが渇くのですが、マスクをしているとさほどのどは乾きません。マスクによる保湿効果だと考えます。そういった意味からも外出時にはマスクは有効だと思います。

 刈谷先生が最も強調していることの一つが毒物接種への警告です。その毒物とはズバリ「タバコ」です。世界では毎年800万人の人がタバコを原因とする病気で亡くなっているそうです。また、すべての死因の関連性で見ると運動をしないことは喫煙の3倍も有害だそうです。この考え方でいくと、生活習慣病に効く万能薬はズバリ「運動」ということになります。詳細は刈谷先生の本を読んでいただければと思います。

 以前vol.182でご紹介した江部先生は糖尿病に対する予防・治療として糖質制限を掲げて言いますが、刈谷先生も低糖質を訴えています。糖質の摂取は、満腹感を抑え食べ過ぎを生み出す、またインスリンの分泌を刺激し肥満と心臓病を作り出すと警告しています。

 刈谷先生の本は前半新型コロナウイルスに関する記載がありますが、後半は真の健康について書かれており、皆さんにぜひ読んでいただきたい素晴らしい本です!

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2020年05月08日

vol.197 「定期検診を受けられている方に敬意を表して」

 新型コロナウィルスに対して、緊急事態宣言がGWまでであったものが、5月末日まで延長になりました。宮城県では感染者数が少ないこともあり規制が一部緩和になりました。一歩前進した感じがありますが、引き続き気を引き締めなければならないと思います。

 また、コロナウィルスの影響で皆さんストレスが溜まっていると思いますが、他人に対する攻撃的な反論が多くみられるようになっていると感じます。同時にstay homeを求められている中、SNSなどを使って輪を広げるような発信をされている方も少なくありません。このような時期だからこそ、一人一人ができることを徹底して、元の生活を取り戻したいと強く思います。

 さて、昨年からスタッフとともに考えていたことですが、コロナ問題で時間ができたこともあり、きちんと定期検診を受信されている方へ表彰状を送ることをこの4月からはじめました。
3年経過:bronze stage
6年経過:silver stage
10年経過:gold stage
15年経過:platinum stage
20年経過:diamond stage
といったような経過年数によって、賞を設定して口の写真を載せてお渡ししております。写真入りですので、驚かれる方、喜ばれる方、恥ずかしがる方など、患者さんによって反応は様々です。

gold (2).jpg

 さらに今月からは1989年にはじまった8020(ハチマルニーマル)運動(80歳で20本以上の歯を残そう!)ですが、2017年には50%を超えたということで、大変喜ばしいことだと思います。その8020を達成した方々へも表彰状を差し上げることにしました。

8020 (2).jpg 

定期的に検診を受けられている方は、間違いなく問題が少ないですし、8020達成している方はほぼ定期検診を受けられています。皆さんもぜひかかりつけの歯科医院を見つけて、健康を維持していただければと思います。
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2020年02月19日

Vol.196「院内ポスター」

新型コロナウィルスが世界規模となりつつありますが、皆さんの予防は万全でしょうか?手洗い、マスクの着用を行っていると思いますが、日ごろから免疫力を上げることが大切だと思います。
さて、通院中の患者さんに様々なインフォメーションをということで、スタッフ総出で員ら五掲示用のポスターを作りました。テーマは
「虫歯」
「歯周病」
「歯ブラシ」
「歯磨き粉」です。
虫歯や歯周病に関しては大切な概念が記載してありますし、歯ブラシや歯磨き粉については当医院でのおススメですので、完全なオリジナルです。

虫歯ポスター.pdf
(DH.小野寺作)

歯周病.pdf
(DH.千葉作)

歯ブラシ.pdf
(DH.清野作)

歯磨剤.pdf
(Re.三浦)

皆さんの健康を心からお祈りいたします。

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2019年12月18日

Vol.195「サービスの差」

 令和元年も残すところ半月、皆さんにとってどんな一年でしたでしょうか?

 さて、今回はサービスについて考えてみたいと思います。今年の7月にFAXの複合機を購入しました。メーカーはプリンターでは超有名な〇P〇〇〇さん、購入先はAmazonさんでした。インクジェットが少なくなった表示が出たのでAmazonさんから純正のインクジェットを購入したものの、印字ができなかったので、ヘッドクリーニングなどあらゆることを行いましたが、結局最後まで印字ができませんでした。こういった場合、メーカーに直接聞くのが早いと思い電話でお聞きすると、一度電源を落として6時間待つとうまくいく可能性があるので、試してほしいと言われましたので、そのようにしてみたのですが、6時間後同様に試験印刷してみたのですが、やはり印刷できませんでした。別な他社製のプリンターはインクがなくなると印刷できない仕組みになっているので、インクが空になった場合、データがFAX本体に残ったまま、新しいインクが充填されたのちにプリントアウトされてきます。しかし今回のメーカーのプリンターは真っ白のまま印刷された形になるので、FAXで受信していた大事な要件もわからないままになってしまいました。

 たまたま商品がはずれだったのであれば交換すればいい話だと思うのですが、真っ白のまま印刷されてしまう機能には問題があると思い、翌日の電話で別な機種を考慮していると伝えると、それはできないと言われました。それならせめて原因を追究するべきだと思うので、無料でいいから引き取ってほしいとお願いすると、そういうシステムになっていないと断られました。処分も自分でしてくださいとのことでした。

 その後、ディーラーであるAmazonさんにこの話をすると、着払いで送ってほしい、返品扱いにしますという対応でした。カスタマーサービスの方が「私がお客さんの立場になったらと思うと、そうすべきだと思いますので」との回答です。

 本来ディーラーさんには責任のないような話なのに、お客さんを大切にするということで素早い対応をしたAmazonさん、一方、本来その品物を調べて原因を追究すべき立場が、規則だからと品物を送ることすら拒否する某メーカーさん、対応は180度違いました。

 私たちの仕事に置き換えて考えてみると、何かしらのトラブルが起きた時に、患者さんにどのように対応するかが大切だということです。当医院でのトラブルはもちろんのこと、他院で起こったトラブルであったとしても、患者さんが納得できるようにできればと考えるようにしているつもりですが、今回の件でより強くそう思いました。
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2019年11月03日

Vol.194「西田亙先生の講演を聞いて」

 ラグビーのワールドカップは南アフリカの優勝で幕を閉じましたが、ラグビーの魅力に取りつかれた1か月半でした。選手の皆さんもスタッフの皆さんもお疲れさまでした!

 昨日は愛媛県松山市で内科を開業している西田亙先生の講演を山形で拝聴しました。西田先生は糖尿病の専門医ですが、自身が40代の時に糖尿病に罹患し、その際歯周病の治療を併用したことから、内科医でありながら歯科関係者などに講演をして全国を飛び回っているスーパードクターです。自身の経験からの話ですので説得力がありますし、歯科に限らず獣医の分野まで勉強されていて、話の内容は日々進化し続けているのです。講演は情熱にあふれ、尾木ママ張りのお姉言葉を織り交ぜながらたくさんの笑いもとる、まさに講演のスペシャリストでした。

 西田先生は口の中を清潔にすることが全身の健康につながるいくつもの例を紹介されていました。西田先生が診ていた重度の糖尿病患者さんに対して、通常の治療のほかに歯科医院でしっかりと噛める入れ歯を作ったことで、劇的によくなった例を示されました。

 また、最も驚かされたエピソードは、35歳のアジア人女性が39週と5日で死産をしてしまったケースです。その母親は新進関連歯周炎で出血していたのですが、死産3日前に上気道感染で発熱を起こしていました。死産の際は猛烈な悪臭を放つ血性の羊水だったそうです。激しい繊毛羊膜炎臍帯炎、肺炎を生じており、繊毛膜、羊膜、胎児の肺と胃を埋め尽くす細菌が検出されたのです。その細菌こそ歯周病菌の一種・F.nucleatumだったのです!解剖医はその感染ルートは膣からではないことも同時に調べていたのです。つまり、母親の歯周病菌が上気道炎によって全身をめぐる血液内に侵入し、胎児の体内に侵入しわずか3日の間に命を奪ってしまったということなのです。

 さらに、その・F.nucleatumを羊水内に認めた妊婦においては100%・全員が早産であったといういことも驚きです。現在早産に関わる医療費は年間3兆円もかかっているそうです。もし、妊婦さんたちが定期的に歯科医院を受診し、口の中の細菌を減少させる、あるいは細菌の活動レベルを低下させれば、こういった問題を予防できるわけです。さらに細菌の立場になって考えると、同じ住居に住む家族間は行き来しやすいルートであり、家族全員で、あるいはお付き合いしている恋人同士で口の中をきれいにすることは、お互いの健康維持に直結する大切な予防なのです。

 現在の研究ではアルツハイマー患者の一部にP.gingivalisという歯周病菌が海馬内に存在していることがわかりました。このブログを読んでいる方の科中には歯ブラシをほんの数秒で終わらせている方、歯科医院にしばらく行っていない方はほとんどいらっしゃらないと思いますが、知り合いにそういった方がいたら、是非かかりつけの歯科医院を見つけて定期的に歯周治療を受けるようお声がけしてみてください。
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2019年10月07日

Vol.193「偉大な日本の警察官」

 ラグビーのワールドカップ、日本強いですね!ラグビーをした経験はありませんが、これほど面白いスポーツだったのかと改めて感じさせられました。スコットランド戦もぜひ勝ってほしいです!

 過去に何度かご紹介しましたが、昨日は仙台歯科医師会が行っている休日夜間診療の担当でした。午後7時から11までの4時間、五橋にある仙台福祉プラザの12階で診療を行うのですが、昨夜は非常に特殊な患者さんが来院されました。仙台のとある警察署の方から連絡があり、現在留置所にいる容疑者の方が歯が痛いので診てもらえるか?ということでした。もちろん我々は医療人ですので、病める人を拒む理由はありません。

 容疑者の方が車で待機している間に一人の警察官の方がいらっしゃって、まずはその方の年齢や主訴などの状況を教えてくださいました。また、多くの病院からたくさんの薬を処方されていることも知りました。こちらの了解を取るといったん待機していた車に戻り、計3名の警察官の方と患者さんが入室してきました。診療室の受付に入ると、その方が警察官にざっくばらんに話しかけていて、幾分緊張していた我々は拍子抜けする感じもありました。

 問診表の記載を終えた患者さんが警察官とともに診療室に入ってきましたが、TV以外では見たことがなかった手錠、腰ひもで拘束されたまま診療台に座っていただきました。患者さんは座るや否や、「そんな3人で囲んだら先生が診療しにくいだろう?」と警察官3人に話したんです。心の中で「勘弁してくれよ〜」と思っていましたが、警察官の方は同調することもなく平然とした表情でした。

 その方の症状は緊急性もなく入れ歯を作ることが最善の治療でしたが、あいにく休日夜間診療所は救急のための治療を行うところでしたので、事情を話したのですが、「俺はもうすぐ刑務所に行くからさ、それまでに入れ歯を作ってくれよ〜」とのこと。もっともな意見ですが、今まで放置していたままでいたこと、また、順序だてて入れ歯を作るために十分な時間もないことから、その話を一旦持ち帰ることになりました。

 診療所の3人のスタッフともども、緊張した30分ほどでしたが、私自身は警察官の方の立ち振る舞いには改めて感心させられました。自分のペースに乗せようとするその患者さんを、怒ることもなく、刺激することもなく、うまくリードしているように思いました。3名の警察官のうち2名は私より若い男性でしたが、立派な対応でした。思い返せば東日本大震災では、私自身7,8回検視に行きましたが、その現場でも最も過酷でつらい仕事をしていたのは日本の警察官と自衛官です。我が家はガスの復旧まで1か月以上かかりましたが、あの警察官や自衛官の懸命な仕事ぶりを見たら、愚痴など言っていられないと思いましたから…。日本の警察官の皆さん、本当にありがとうございます!
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2019年09月02日

vol.192「父が入院して」

 九州地方の皆様、豪雨の被害お気の毒です。一日も早く元の生活に戻ってほしいものです。

 1か月前、夜中に父が「息苦しい」と訴えたので、薬局に行って酸素ボンベを購入して使用してもらいました。心拍数も120回/分ほどでしたが少し落ち着いたので、そのまま朝を迎え病院へ行くと即入院となりました。もともと気胸持ちだったのですが、肺気腫を併発し肺から空気が漏れて肺がしぼんでいたとのことでした…。原因は60年以上にわたる喫煙です。

 今までも再三禁煙を勧めてきましたが長年の習慣には勝てず、本人も体に悪いことをわかっていながらやめることができずにいましたが、ついに肺が悲鳴を上げて入院となりなした。入院当日から胸腔ドレナージによる吸引で、肺を膨らませることで普通に呼吸もできるようになりました。担当の先生には肺がボロ雑巾のようになっているので、穴がふさがってもまた別なところに穴が開くかもしれないと言われたそうです…。

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 8月25日宮城県歯科医師会主催の東北大学医学講座で放射線診断科の講演を聞きましたが、富永先生に胸部X線の画像を数多く見せていただいたので、その資料を入院している父にも見せました。もちろん父も病院で自分のレントゲンも見せてもらっているわけで、今回は本当にタバコをやめるそうです。

 歯科医師として患者さんと向き合っている中、重度の歯周病に罹患している喫煙者の患者さんに禁煙を勧めるのですが、患者さんもわかってはいるのだけど…といった反応が多いのですが、今回の父の件を境に、もう一歩踏み込んだ禁煙指導をしたいと強く感じました。喘息持ちの児童の多くは、親が喫煙者であるという報告もあります。大阪大学歯学部の天野教授は「ご主人が喫煙者でホタル族であるときは、ご主人がベランダに出てタバコを吸っているのを見たら、カギをかけて1時間は部屋に入れないようにしてください。そのまま部屋に戻ると皆さんにも悪影響が出ますので…」と笑いながら説明していました。自分の身体だからと言わず、愛する家族や仲の良い友人のためにも、そして地球のためにも皆さんでタバコをやめて、きれいな環境、健康的な肉体をはぐくんでいきましょう。
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2019年07月23日

Vol.191「矯正治療のために歯を抜いてもいいのか?」

 なかなか梅雨明けしないですね。夏らしい日が待ち遠しいと思っております。

 さて、先日歯科医師同士で行っている勉強会で若手のまじめな先生が矯正治療の症例を提示してくれました。矯正にもいろいろな流派がありますが、その彼の治療は王道を歩んでいて、多くの歯科医師が賛同する内容でした。

 一方で、大変きれいな歯並びなのに、「顎が痛い」「口を開けると音がする」といった主訴で来院される患者さんがしばしばいます。その中で、歯並びをよくするために小臼歯を4本抜いてきれいな歯並びを獲得し他場合、次のような問題が生じる可能性があります。
1.かみ合わせの高さが低くなる
2.下の顎が後方へ移動して顎関節症になる
3.歯列全体が狭くなり、気道が狭くなる
実際の症例を見てみましょう。

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110606上・井上珠里.jpg110606下・井上珠里.jpg
 初診時20歳代の女性の患者さんです。矯正治療としては100点の治療だと思います。しかし、この患者さんは「口を開けにくい」「口を開けると音がする」ことを機にされていました。実際にキャデイアックスという機械を使ってかみ合わせを調べてみたところ、次のような問題点が浮かびました。

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 このグラフは口を開けたり閉じたりする時の顎の動きを、左右側面から見た時の軌跡を示します。正常な方の動きは、口を開けるときと閉じるときの軌跡がほぼ一致しています。しかし、写真の患者さんは赤まるで囲んだ部分が示すように、口を閉じるときに右とは明らかに違う部分に止まってしまいます。これは左の奥歯のかみ合わせが2oほど低い状態であることを示します。このことにより口を開けると音がする「関節円板前方転位」という症状が発生します。この診断をもとにマウスピースを入れることで音は一切しなくなりました。

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 前歯に隙間がありますが、このマウスピースを使っていくうちに、この隙間が閉じていきます。それに従って、関節円板が正常な位置に復位し、顎の動きが正常になります。

 しかし本来は最初から顎の機能的な診査を行ったうえで矯正治療を行えば、このような問題は起きなかったはずです。そして、その機能的な診査に基づいた診断をすれば、多くの場合、抜歯をするという選択肢は生まれないと思います。抜歯矯正でも成功を収めている症例も数多く存在していると思います。しかし、最初からキャディアックスのような診断器具を用いて機能的な診査を行ったうえで、適切な治療計画を立てることが重要です。

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2019年06月01日

vol.190「温故知新」

 元号が令和となり、1ヶ月が経ちました。ブログもしばらくお休みをしてしまいました…。

 私が歯科医師になったのは1988年ですが、歯科界において1980年代は「歯周補綴」といって、歯周病が進行した状態に関して、被せ物でつないでグラつきを抑える治療がトピックスでした。1990年代は「インプラント」、2000年代は「審美修復治療」、2010年代は「精密歯科治療」が話題のテーマでした。精密歯科治療の中にはCTやマイクロスコープももちろんですが、CAD/CAMを使った治療は2000年代から用いられてきましたが、嘔吐反射のある方には苦痛である「型を採ること」をせず、専用のカメラで口の中をスキャンするだけで情報が得られ、模型にする必要もないので、技工所へ瞬時に情報を送ることが可能となりました。これは模型が要らないためエコでもあり、郵送代が節約され時短にもつながります。

 AIの発展により、今後歯科治療も大きく変わっていくことと思います。優秀な先生による遠隔治療や、ロボットによる正確無比な治療は、患者さんにとって可能性が広がることになると思います。医科の世界では、治療をより正確にイメージするため、VR,AR,MRそしてホログラフィーを活用して、3次元でシミュレーションできるようになってきました。本年2月にインプラント学会関東・甲信越支部学術大会に参加しましたが、その際拝聴した杉本真樹先生の話は本当に刺激的でした。杉本先生は毎日放送の「情熱大陸」にも出演したので、ご存知のかたも多いのではないかと思います。

https://www.facebook.com/watch/?v=1805416926177517

私が所属している勉強会の一つに「月一会」がありますが、前会長の菅崎直身先生は若手の歯科医師を育てる目的で、自院を提供して歯科治療のイロハを教えてきました。10年以上前はわたしもその受講生でした。2年前より10数名の受講者を対象にした8名の講師で
8回のコースの「基本を学ぶ会」をスタートしました。最新の治療とは異なりますが、歯科治療の「基本」を各分野ごとに丸一日、実習も兼ねたコースです。先月は懇親会も行いましたが、若手の先生方は皆さん真剣で、とても頼もしく見えます。

 先日、月一会の例会後の懇親会で、若い先生から「症例を見てほしい」ということで、PCでケースを相談していただきました。歯周病が進行していた患者さんでしたので、治療方針を聞きましたが、何点かアドバイスのできる部分がありました。そこをつめていくために、私の診断のステップを説明する必要性を感じたので、今夜その勉強会を行う予定になっております。そのメンバーは全員「基本を学ぶ会」の卒業生であり、勉強が続くことに喜びを感じます。我々の世代が引退する頃には治療体型も変わっていると思いますが、「基本を学ぶ会」の卒業生や若い先生方が歯科界をリードしていくことと信じています!
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2019年01月28日

Vol.189「適切な歯周治療を目指して」

 大坂なおみ選手の全豪オープン優勝!素晴らしいですね〜ホント元気をいただきました(^^)

 今までにも何度かご紹介しましたが、昨日は3ヶ月に1度ある休日夜間診療の当番でした。午後7時から11までの4時間で6名の患者さんが来院されました。五橋にある仙台福祉プラザで診療するのですが、応急承知がメインでその患者さんとはその後二度と会わない可能性が高いのですが、限られた時間内で色々なお話をしてきました。多くの患者さんはかかりつけの歯科医院があって、素晴らしい治療を受けている方ばかりでした。ただ、一人、重篤な歯周病に罹患している患者さんがいらっしゃいましたが、以前から指摘をされていた歯の部分が痛くなって来院されました。ポケットは10mmほどありましたし、レントゲンを撮ると、歯の根っこ全体を取り囲むように骨がなくなっており、その歯はブリッジの土台となる歯でもありました。

 あまりにも重篤な歯周病の歯をいたずらにそのままにしておくと、支えている骨の問題が隣の歯にも及んでしまい、本来使えるはずだったその隣の歯まで抜かないといけないレベルになってしまうことがあります。

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(赤丸の部分は横たわっている親知らずをいつまでも抜かなかったために、隣の歯の虫歯と歯周病、その一つ手前の歯も歯周病に罹患してしまい、赤丸で囲まれた3本の歯すべてを抜かなければならない状態でラインされた患者さんのレントゲン写真です。反対側に比べると一目瞭然です)

 しかし、その患者さんは毎月レーザー治療とアルカリ水の洗浄だけを繰り返していたと教えてくれました。その歯と噛み合う上の歯は、上下的にグラグラ動くレベルでした。どちらの歯も抜歯の適応である可能性が高かったのですが、かみ合わせの調整なども行われていませんでした。レーザー治療にも殺菌効果を期待できますが、本来その患者さんがなられるべき治療はもっと根本的な問題解決であり、適正な治療方針が適応されなければ、患者さんは不幸な時間を長く過ごすことになります。

 「AというBという歯磨き粉のほうがより殺菌効果がある」ということが事実だとしても、「Aという歯磨き粉からBという歯磨き粉を使ったら歯周病が治った」ということにはならないのです。われわれ歯科医師がその患者さんの歯周病の問題点を抽出して、歯周基本治療というステージで患者さんの反応を確かめて再評価し、その後治療方針を固めていくのです。一つ一つの事実が正しくても、それらの事実を総合的に診断し、的確な治療がなされなければ意味がありません。重篤な歯周病に関しては、日本歯周病学会、日本臨床歯周病学会など、理論的な根拠に基づいた治療を行っているグループや、本当の意味でよく患者さんを「診る」病院で治療を受けていただくと安心できると思います。
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2018年11月01日

Vol.188 「インプラントのために歯を抜くことが良いのか?」

 一気に冷え込んできましたね。皆さん体調はいかがでしょうか?

 最近では医療界においてセカンド・オピニオンが当たり前の時代になってきました。治療方法、治療期間、治療費などについて説明を受けたとき、もっと他の方法はないのか?やすい治療はないのか?など、昔と違ってネットなどで情報を簡単に集めることができるようになりましたので、いろいろな意見を聞きやすくなったのだとも思います。

 当医院にもそういった相談を受けることが多いのですが、治療費よりも、歯を抜くか抜かないかといった相談が多い傾向にあります。1本の歯についての相談は、前の先生の判断が妥当である場合が多いです。我々歯科医療従事者もできるだけ歯を残そうという気持ちが前面にありますので、不必要に抜くことはありません。
しかし、インプラントの側面に立つと少々事情が異なる場合があります。インプラントがうまく機能するためには、インプラントを受け入れる骨が必要です。しかし、歯周病が進行した場合や歯の根っこが折れている場合など、歯を抜く時期が遅くなればなるほど骨が吸収して、インプラントを支える骨がなくなってしまう危険性があるのです。そういった背景から「早く歯を抜かないと骨がなくなってしまいますよ」と患者さんに宣告する場合があるのです。

 その点において、歯周病学会の会員とインプラント学会の会員では全く異なる治療方針を立てることが少なくありません。ここで大切なことは「なぜその対象の歯を抜かなければならなくなったか?」という原因論です。もちろん歯周病の原因は細菌ですが、どうしてその歯が対象になったのか?という他の歯との比較が大切です。この問題を解決しないまま歯を抜いてインプラントを埋めたとしても、そのインプラントもだめになっていく可能性が高いわけです。その原因を明確にして対策を講じた上でインプラントが最良の治療法だと判断したときはじめてそのための治療方針を固めていけばいいのです。
 
 インプラントのあるグループの先生方は、「インプラントを予定している箇所が複数あって、その間に神経を抜いた歯があったら、症状がなくても抜いてしまって、インプラントで治したほうが良い」と言っているかたもいます。神経を抜いた歯は抜いていない歯に比べて寿命が短いことは事実ですが、症状も何もないのに抜いてしまう治療は本当に良いのでしょうか?

 つい先日来院された方も、「残っている歯をすべて抜いてインプラントで治療しましょう」というプランに疑問を持ち、相談にいらっしゃいました。少しずつその原因が解明されてきたので、焦らずに残っている歯をしっかりと残すことから治療を開始する予定です。医療の基本は「診断」です。抜かなければならない歯はなぜそうなったのか?抜かなければならないとして抜群のタイミングはいつのなのか?一つ一つが診断です。この入口さえ間違わなければ、必ず良いゴールにたどり着けます。
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2018年09月02日

Vol.187「歯周病がなぜ起こる?」

 平成30年も9月を迎えました。暑い夏が続いていますが、皆さん体調はいかがでしょうか?

本日9月2日、仙台国際センターにおいて宮城県歯科医学大会が開催されました。講師には大阪大学歯学部の天野敦雄先生をお迎えして「歯周病はなぜ起こる?」―21世紀の病院論をご存知ですか?―という演題でご講演いただきました。

 「かかりつけ歯科医をもつ人は寿命が長く、要介護にもなりにくい」「かかりつけ内科医では寿命は伸びない」という話から講演は始まりました。そして歯周病の主治医は患者さん自身であり、歯科医院はそのお手伝いをするところである立ち位置の説明もされました。

 日本人の約8割が歯周病だと言われていますが、約1割の人は重症度のひどく、その方には歯周病菌の中でも毒性の強い細菌が住み着いているそうです。その細菌は鉄分が大好きでその鉄分を血液から取り込みます。歯ブラシがおろそかになり歯と歯ぐきの間にたまっていくと、体は細菌の侵入を防ぐために血液から白血球を送り出します。その結果少しの刺激で容易に出血するようになり毒性の強い細菌が全身を巡ることができるようになってしまうのです。2017年の段階で歯周病と関連のあるといわれている疾患は糖尿病をはじめ100種類以
上あると言われています。歯周病の治療は全身状態を良くすることにもつながるのです。

 また、歯科医院で歯科衛生士が専用の器具を使って患者さんの口の中をピカピカに磨き上げたとして、細菌の種類が悪玉菌優勢になるのに12週から16週になると言われているので、定期検診が重要になるわけです。当医院では患者さんに応じてメインテナンスの時期を選んでいます。資料の積み重ねはその後の予測に繋がりますので、大変重要です。転勤などで引っ越しをされる際もデータのやり取りが可能なので、転居先にデータを送ることもしています。

 天野先生は現代医学では歯周病は完治しないので、定期的に歯科医院でクリーニングすることが歯周病を悪化させないために重要であると力説していました。また2017年6月5日の国会中継で自民党の山田宏議員の質問を紹介していました。みなさんも19分30秒あたりから6分間くらいご覧いただければと思います。

https://www.youtube.com/watch?v=PBR9EJqEGA

また、品川女子学院インターアクト部の動画も紹介してくださいました。ぜひご覧ください!

https://www.youtube.com/watch?v=PwKaY1nL-zI

 天野先生の講演はためになるだけでなく、大変面白いのです!生まれは高知県ですが、今や完全な大阪人です。歯科関係者の皆さんにはぜひ一度聞いていただきたい素晴らしい先生の一人です(^^)


posted by 副院長 at 16:11| Comment(0) | TrackBack(0) | '18ニュースレター