2015年09月04日

Vol.156「川柳で頭も磨いてみませんか?」

 暑い夏があっという間に去り、涼しい季節がやってきました。それにしても夏の甲子園、仙台育英学園高等学校お見事でした!本当にお疲れ様でした。

 さて、最近はテレビで俳句の番組を見るようになりましたが、俳句は季語の使い方など、極めようとすると難しい世界だと思いました。一方、川柳にはこれと言った決まりもないため、「サラリーマン川柳」に見られるように、多くの人が自分の思いを表現しています。すっかり忘れていたのですが、歯科衛生士向けの雑誌、医歯薬出版株式会社のデンタルハイジーン2006年6月号に川柳を載せていました。皆さんにご評価いただければと載せてみますね。

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「川柳で 頭も磨いて みませんか?」
(3人の衛生士)
 当医院には卒後5年目一人、4年目二人、計3名の衛生士が勤務している。同年代の受付とともに、院長である父と筆者を支えている、いやリードしてくれる頼もしい仲間である。

 患者さんとのやり取りも三者三様で、それぞれに味がある。新人だったころは、
「あの患者さん、いくら言っても磨いてくれません」と根をあげたこともあった。そんな時「この前よりよくなったじゃないか」と乗せたこともあった。当医院でもお世話になったスーパーハイジニスト・土屋和子さんを引き合いに出し、「君が指導しても磨かない患者さんを、土屋さんが担当して磨くようになったとしたらどうする?」とちょっと意地悪を言ったこともあった。現在では3人ともそんな患者さんとも上手く付き合い、われわれ以上に“飴とムチ”を使い分けているようである。

(磨いてくれない患者さん)
皆さんはどうだろうか?懸命に説明しても磨いてくれない患者さんとどう接しているのだろう?
“磨かない? 抜けても知らない あんたの歯”
それとも家康風に
“磨かない? 磨くの待とう 信じてる”
それとも
“磨かない? 代わりに私が 磨きましょう”
とPMTCのラインに乗せるだろうか?
石川純先生風に
“歯周病 食べてみましょう 硬いもの”と1)、
食を見直すのも大切である。

 当医院の三人が新人の頃は「チェックお願いします」の声に呼ばれて患者さんの口腔内を見ると
“見てごらん ミラーに映る この歯石”
ということもしばしばあった。
また
“取れてない 研がない刃物じゃ 当たり前”
なんて頃もあった。
それが今では治療するときの姿勢もよくなり、遠巻きに見てもサマになっていて、安心して任せられるようになってきた。

(ポケットが浅くならないときは?)
それではブラッシングが定着して初期治療も一段落、でも深いポケットが残存している、そんなとき皆さんはどうするだろうか?
“治らない? フラップ開いて 治しましょう”
と確定的外科の選択もあるだろう。
力が絡んでいる場合には
“治らない? そりゃーそうだよ ブラキサー”
そして
“ブラキサー 入れてみようか スプリント“
と池田雅彦先生、谷口威夫先生は言うかもしれない2,3)。
非外科派の人は
”治らない? 磨いてみようか 3時間“
と勧める方もいるだろうか?
あるいは
”これ以上 多くは望まず リコールへ“
と山本浩正先生が分類した妥協的メインテナンス4)ということだってある。

しかし、駄目出ししていた歯が意外にもっていることを経験している読者の方も少なくないと思う。
そんなときは患者さんに「この状態をキープできているのは患者さんが若いからですよねー」と持ち上げることも忘れない。そうするとほとんどの患者さんは「いやー衛生士の○○さんのおかげですよ」と返してくる。その脇でそっと衛生士が僕に囁く。
”今回は 咬調しなくて いいのかな?“と…。
いや〜頼りになるなー。

(スタディーグループで学ぶ)
私自身は卒後19年目を迎えるがまだまだ学ぶことばかりである。しかし良きスタッフのほかにも勉強会の仲間がいる。仙台には20年の歴史を持つ「月一会」というスタディーグループがある。そこに筆者よりも若いがとても優秀な歯科医師のH先生がいる。そのH先生が
「衛生士 君らモー娘。僕つんく」
と言っていた。歯周治療の主役は衛生士で、僕ら歯科医師はプロデューサーだと…。
それだけ衛生士の立場を高く評価しているのである。
しかし、我々の世界ではそれでよくとも、患者さん自身がそう思っては決してよい結果は生まれない。
“歯周病 治すのあなた わかってる?”
歯科医院はそのお手伝いをするところであると認識してもらう必要があると思う。

(書籍で学ぶ)
臨床の現場以外で学ぶ機会としては、「デンタル・ハイジーン」のような雑誌や本を読むことも必要である。著名な先生や衛生士さんの貴重な症例からヒントをいただくことが多々ある。何よりも自分が手がけているのと同じような症例を、自分の発想にはない方法で治した写真を見ると、本当に勇気が沸いてくる。これは日本全国どこにいても出来ることであり、書籍の力は偉大であると感じる瞬間である。

(学会で学ぶ)
また、学会に属することも大きな前進が出来ると思う。しかもいつも聞く側にいた自分が学会で発表することをイメージしてもらいたい。「えー私なんかムリ×2」と言うだろうか?当医院のチーフハイジニスト・瀬戸が卒後3年目で発表したのが、日本顎咬合学会東北支部会であった。そう、支部会だと知っている顔がたくさんいる中での発表であり、地元の利もあり思ったよりもハードルは高くないと思う。来春日本臨床歯周病学会の東北支部が立ち上がることになった。その中心は我々も大変お世話になっている先生で、医歯薬出版の「一から学ぶ クリニカルペリオドントロジー」の著者でもある江澤庸博先生である。
“学会が あなたの心を 開く鍵”
になるかもしれない…。
http://www.jacp.net/jacp_web/index.html

(育て、育てられ) 
この記事を書いているとき、一人の衛生士が「先生、12月で退職します」と言ってきた。「もしかして結婚?」と聞くとにこやかに「ハイ」と答えた。あ〜いつかは来ると思っていたが、その時が来てしまった…。担当していた患者さんも同じことを思うだろう。でもめでたいことだからなぁ…。なぁに考えてみれば今じゃ専業主婦だが、筆者の家内も衛生士じゃないか!スタッフが辞める辛い気持ちグッとこらえて、門出を祝ってあげたいものである。本音は辞める衛生士のコピーのような人に来てほしいと思っているが、こんな声が聞こえてきそうである。
“新人を 育てる機会 あげたのよ”
そんなみんなと仕事が出来て、とても幸せである。また今日もガンバロー!

参考文献
1) 石川 純 人間はなぜ歯を磨くか 医歯薬出版 13-15,71-72 
2) 池田雅彦、佐藤昌美、鴫原康子 成功する歯周病治療 医歯薬出版53-66 
3) 谷口威夫 トータルから口をみる 松風 93
4) 山本浩正 Dr.Hiroの超明解ペリオドントロジー クインテッセンス141-142
posted by 副院長 at 11:26| Comment(0) | TrackBack(0) | '15ニュースレター