2016年06月25日

Vol.165「患者さんと共に治療する」

 全国的に雨の被害が続いています。被害にあわれた方が一刻も早く日常に戻れることを祈っております。

 さて、今日は歯科治療について視点を変えてお話してみたいと思います。歯科の二大疾患は「虫歯」と「歯周病」です。特に虫歯については「治療」という側面で見ると、その主役は我々歯科医療従事者です。虫歯菌に感染してしまった部分を専用の器具で取り除き、そこを人工物で埋めて修復していくというものです。また、不幸にして歯を失ってしまった場合には、入れ歯など大きな代用物をオーダーメイドで作っていきます。義手や義足、あるいはメガネやコンタクトレンズと同じような位置づけにあると思います。

 一方歯周病の治療はどうでしょう?詳細な診断をした後、歯に付いている歯石を取ったり、合わない被せ物をはずして磨きやすい環境を整えることは、我々がおこなう治療です。しかし、歯に付着する歯周病菌を取り除くことは、患者さん自分自身が行わなければならないことなのです。すなわち治療の主役は患者さん本人なのです。この部分が虫歯や入れ歯の治療と大きく異なる部分です。患者さんが本気になって歯周病と向き合わなければ、どんなに歯周病の名医と出会っても治らないのです。

 このことは内科的な疾患にも言えることだと思います。血圧が高い方がすぐに降圧剤をのむことは決してよいことではありません。自らが血圧をコントロールする能力が損なわれていきます。糖尿病の方がインスリンを投与されれば、すい臓がインスリンを生産する能力が低下していくそうです。本来の健康な状態に戻るためには薬や治療を主体におくのではなく、生活習慣など全身の健康を第一に考え、歯周病に対してであれば、適切なブラッシングを欠かさず行うことが必要です。

 歯科においては第3の疾患、「顎関節症」があります。予防としては左右均等に噛むとか、寝る姿勢に気をつけたりとか、噛みしめる癖をやめるとか、色々とあるのですが、顎関節症に関してはやはりわれわれの治療が主体になってきます。今までにも示したように、その中でも“診断”が非常に重要です。

 その的確な診断の元に治療が行われていくのですが、その診断のために“患者さんの訴えを良く聞くこと”がポイントになります。顎関節症の患者さんの悩みは、とても表現が難しく、相手に伝えることが困難なようです。こちらからしっかりと寄り添って、何でも言える状況を用意して、“患者さんとともに歩みながら治していく”そんなスタンスで治療に当たることが大切だと思っています。現在治療中のAさん、ともに頑張りましょうね!
posted by 副院長 at 15:17| Comment(2) | TrackBack(0) | '16 ニュースレター