2015年02月05日

Vol.150「噛み合せの治療に顎の手術は不要」

 2015年最初のニュースレターです。年の初めから物騒な時間が連発していますが、平和な世界になってほしいと切に思います。

 さて、皆さんの今年の目標は何でしょうか?僕自身、毎年目標を掲げるのですが、仕事面では「正しいかみ合わせ治療の普及」を選びました。今も勉強中なので、現在進行形ではあるのですが、多くの結果を残せるようになってきた現在は、若い歯科医師を中心に、自分達が学んだコンセプトを伝えていきたいということです。

 ブログでも何度か紹介しましたが、今現在実践しているシークエンシャル咬合、オーストリアン・ナソロジーというコンセプトに出会ったのは、平成17年でした。このコンセプトの元に診療をするようになって丸10年が経過したわけです。それまでの自分は、一般の先生方と同じ、いわゆる「勘」でかみ合わせを探っていました。もちろん、その中でも結果は出していましたが、今現在診断・治療ができる範囲から見たら、非常に限られたケースしか治療ができなかったように思います。

 抜歯をしない矯正治療を行うようになって約10年が経過しますが、今年はそれ以上に「顎を切る手術をしない」ことの重要性を強調したいと考えています。昨日初めて来院された患者さんは、セカンド・オピニオンを求めて、HPを見ていらっしゃった方でした。最初に診てもらった歯科医院での資料を持ってきてくださいましたが、CTやレントゲンの分析もしっかりとされており、治療計画も記載されていました。しかし、そこには手術で顎を切ってかみ合わせを再構築する方針だったのです。下の顎は正中をまたぎ、左右2箇所の関節があるという、人間の体の中で唯一の骨です。その骨を3分割にして、一気にかみ合わせを治す手法ですが、左右の顎関節は切断された瞬間、各々の骨に付着している筋肉に引っ張られ、予想もしない(見た目ではわからない程度だと思いますが)方向へ位置付けられます。しかし、手術推進派の先生方は、古い文献を引用して、「切断すると骨は最適な位置に落ち着く」と信じています。

 顎のトラブルは多く場合、関節円板という組織の位置異常、あるいは変形を伴っています。
骨.jpg
側頭骨と下顎骨の位置関係

円板.jpg
下あごがスムーズに動くための関節円板
(出典はともに「チェア−サイドで行う顎機能診査のための基本機能解剖」)

ICP1.png
正常者の関節円板の位置

DRP1.png
顎がカクカクなる方の関節円板の位置


ですから顎の切断によって瞬時にその位置や形態が変わるはずもなく、むしろその異常な状態をそのまま引き継ぐことになります。見える部分の噛み合わせだけをきちんと治すと、状態の悪い顎の情報をより固めてしまう結果となります。このことは顎の手術を受けた患者さんを何人か診てきたので、痛感しています。学会を通じて少しずつその主張をしてきていますが、今年は師匠の吉見先生やその仲間と共に、幅広くアピールしていきたいと考えています。
posted by 副院長 at 08:38| Comment(0) | TrackBack(0) | '14ニュースレター
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