2015年10月08日

Vol.157「上と下の前歯の重なり具合は重要」

 暑い夏から一気に秋へシフト、皆さん体調はいかがでしょうか?

 今回は顎関節症の中でも前歯の重なりに着目してお話をしたいと思います。前歯の重なりというと、「受け口である」とか「出っ歯である」という表現が多いと思います。しかし、一般に受け口の方に顎関節症はあまり多くありません。以前にもお伝えしましたが、顎関節症は顎が後ろに、または関節が上の方向へ圧迫されることによって起こる疾患です。受け口の方よりも、出っ歯の方のほうが顎が後ろに押し込まれている確立が高く、顎関節症になる確率が高いのです。さらに、前歯の重なり具合で問題となるのが、噛んだときに下の前歯が見えないくらいに隠れている方です。Intercoronal opening angleと言いますが、
ICOA.jpg
(顎関節機能を考慮した不正咬合治療より引用)
前歯の重なりにはある程度の角度が必要なのですが、下の前歯が見えないくらいに重なっている方は、その角度が小さいために、顎の自由度が損なわれ、顎が後ろに押し込まれます。
ICAO.jpg
(上の前歯が内側に傾斜していると同時に、かみ合わせが深いため、
 噛んだときに下の前歯がほとんど見えない状態)

このある程度のintercoronal opening angleは奥歯においても必要で、奥歯のかみ合わせが深く、自由度が少ない方も顎関節症になる可能性が高くなります。表現を変えると、たった1本の歯の角度が異常であるために、下顎全体の位置を制限することにより、かみ合わせの異常が起こるということです。ですから、その異常をできるだけ早く見つけて、スムーズで顎関節や歯に異常な負担をかけないようにコントロールする必要があります。もちろん、かぶせ物や入れ歯を作る技工士もこういった知識を持ち合わせた上で皆さんの歯を作っているわけです。さらに患者さんたちのポケットを測定し、ブラッシング指導をおこなっている衛生士も、「どうしてこの歯のポケットが深いのか?」を考えたとき、かみ合わせの異常に気づいたときは、歯科医師と連携を取り、よりよい方向へ患者さんを導くように心がけています。実際当医院でも衛生士からかみ合わせの問題点を指摘してもらうことが多くなってきました。それだけ衛生士の見る目が肥えている証です。また、最近勉強会で知り合った入れ歯専門の技工士もとても勉強しており、機能的かつ残っている歯をいかに残すかについてレベルの高い話をしてくれます。

 ともに学べるスタッフと仕事をすることで、より良い歯科医療を提供できるよう、切磋琢磨していきたいと真剣におもっています。先日ノーベル医学・生理学賞を受賞した大村先生がおっしゃるように「科学は人のためにならなければならない」と思います。たまたま手が器用だとか卓越した勘で医療をしていては、後に続く後輩のためにはなりません。医療は科学のベースの上に成り立っていると考えていますので、きちんと正しい知識を身につければ誰でも良い医療を提供できると確信しています。
posted by 副院長 at 09:44| Comment(0) | TrackBack(0) | '15ニュースレター
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/165237976

この記事へのトラックバック