2012年12月31日

Vol.124「歯を残す」

 本日は大晦日、皆さんはどんな1年でしたでしょうか?
 Facebookでは「自分新聞」というアプリがあって、今年1年を振り返ることができるのですが、とても面白いですね!

 昨年は東日本大震災があり、東北の皆さんは特に大変だったと思いますし、つらい別れをされた方も多かったと思います。私自身は今年の1月に勉強会の先輩が、夏にはソフトボールのチームメイトが、そしてこの12月には大学で同じハンドボール部の同級生を亡くし、悲しい1年でもありました。3人とも50,60歳代とまだまだ働き盛りの方だっただけに、ご家族の悲しみを思うと、ただただご冥福を祈るばかりです。特に同級生の死に関しては、ブログには書ききれない色々な思いもあり、たくさんのことを考えさせられました…

 人の死は、その方の肉体が自ら終了のスイッチを押すのでしょうが、「歯」そのものに命があると考えると、多くの「歯」は歯科医師がそのスイッチを押していることになります。そう考えると、安易にそのスイッチを押してはいないかと、自問自答するようになりました。10年ほど前からでしょうか?我々の業界で「戦略的抜歯」という言葉をよく耳にするようになりました。保存をすることが難しい歯があった場合、いつまでもその歯を口の中に残しておくことによって、その歯を支えている骨まで失うことになる場合があるので、だったら早めに歯を抜いてしまい、骨が残っているうちにインプラントを埋めましょうというコンセプトです。先日、日本臨床歯周病学会東北支部で、大阪でご開業の福西先生をお招きしてご講演をいただきましたが、福西先生もこの戦略的抜歯という考え方には疑問符を投げかけていました。「目」の調子が悪いから早めに取っておきましょうなんて治療はありえないでしょ!というわけです。

 戦略的抜歯の考え方にも一理あることは認めますが、歯周病を学ぶ学会にいる我々としては「歯を保存する」ことに全力を尽くすスタンスで治療に当たるべきであると強く感じた次第です。
 もっとも親知らずに関してだけは、積極的な抜歯がかみ合わせのコントロールやすぐ手前の歯を健全に保つために必要である場合が多いので、親知らずの抜歯に対してだけは心の中で「ごめんね〜」と思いながら抜歯をしています。

 ブログでも何度かご紹介しているシークエンシャル咬合のコンセプトでは、矯正治療のために親知らず以外の歯を抜歯することはほとんどありません。第1小臼歯にはかみ合わせの意味でも重要な役割があります。

 2013年はとことん「歯の保存」にこだわって診療に当たりたいと思います。皆さんも良い年をお迎えください(^^)
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2012年11月22日

Vol.123「良い歯ぎしりをしましょう」

 今年も残すところ、1ヶ月あまりとなりました。皆さんにとって平成24年は良い年でしたでしょうか?

 さて、11月14日NHKの「ためしてガッテン」で「歯ぎしり」が取り上げられました。

http://www9.nhk.or.jp/gatten/archives/P20121114.html

解説にはブログでも何度かご紹介している神奈川歯科大学教授・佐藤貞雄先生が登場しました。歯ぎしりと聞くと、あまり良いイメージを持たない方が多いと思いますが、実際に歯ぎしりによって歯の磨耗、歯周病、虫歯が引き起こされます。また、肩こりや腰痛など全身的にも影響が出ますので、たかが歯ぎしりと侮ってはいけないのです。

 歯ぎしりは他人に指摘されてはじめてわかる場合が多いと思うので、部屋で一人でお休みになる方は自分が歯ぎしりをしているかどうかわかりませんよね?でもほとんどの方が歯ぎしりをしているのです!番組で紹介されていた判別法をご紹介します。ひとつは「骨隆起」です。

080331上2・玉木育子.jpg

070827下・星節子.jpg
(それぞれ内側に膨らんでいる部分があることがわかります)

歯に巨大な力が継続して加わると、その周囲の骨が膨らんでいくのです。

もうひとつはくさび状欠損です。

050704splin2t・宮下弘.jpg

歯ぐきとの境目に近い部分の歯がえぐれていることがわかります。


自分が本当に歯ぎしりをしているかどうかを調べるツールとして、当医院ではブラックスチェッカーを使っています。

040628ブラックスチェッカー・杉山豊.jpg

これは私自身のものですが、赤い色のはげたところで歯ぎしりをしていることを示します。

 しかし、歯ぎしり自体は悪い行為ではありません。ストレスを発散するために重要なのです。番組でも逆流性食道炎に対して、歯ぎしりが治癒に効果的だということを取り上げていました。つまり歯ぎしりは必要な行為だが、行き過ぎた「力」が問題であるということです。その力のコントロールにもっとも簡便な方法がマウスピースです。

050322正Splint・渡辺和恵.jpg

このマウスピースを使うことで歯そのものにかかる力を減らすばかりでなく、歯ぎしりのパターンを力を減らす方向に変えていくのです。皆さんも良い歯ぎしりでストレス発散を快適に行ってください(^^)
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2012年10月18日

Vol.122「未来ある中学生」

 食欲の秋、涼しくなりましたがいい季節ですね(^^)
昨日、上杉山中学校の1年生が6人、職場訪問ということで、当医院に見学に来ました。上杉山中学校は私自身が歯科の校医をしていることもあり、選択してくれたのかもしれません。

DSCN1279.JPG


事前に参加者一人ひとりの自己紹介文をいただいていましたが、多くの生徒さんが「将来医師になりたいです」と書いてありました。中学1年生ですでに目標を掲げていることはすばらしいことだと思います。さらに質問をまとめてきてくれたのですが、中学生がどんなことを聞きたいのか、興味深い内容でしたので、回答も含めてご紹介したいと思います。

1.医師になろうと思ったきっかけは何ですか?
小さい頃から医療には興味がありました。医師になろうと思ったのは病気や怪我で悩んでいる方を救うことができるからです。歯科を志したのは父が歯科医師であったからです。父の診療室に通ってきている患者さんをそのまま診ることで、患者さんが迷わずにすむと考えました。また、毎日「疲れた」と仕事を終える父を見て手伝いたいと思いました。町医者として地域医療に貢献することが目標でした。

2.歯科医になるためにはどのような資格が必要ですか?
    
  大学の歯学部もしくは歯科大学で6年間学び、大学を卒業、歯科医師国家試験に合格することが必要です。

3.資格を取るためにどのような努力をしましたか?

  大学の授業・実習をこなします。中学校の勉強同様、予習・復習が大切です。
 試験の対策としては過去の問題も参考にしました。国家試験の勉強は、何度も 同じ問題を解いて、間違えた問題に関しては必ず復習しました。

4.患者さんとの対面で気をつけていることはありますか?

  医療の本質は病気を治すことではなく、病気になった患者さんを健康に導くことだと思います。単に病気を治すことだけを考えず、なぜその病気にかかったか?その原因を探り再発予防の示唆をしてあげることを心がけています。また、スタッフとともに笑顔で接して「今日この医院に来てよかった」と、患者さんにも笑顔になってもらいたいと思っています。

5.この仕事ついて一番苦労したことは何ですか?
  どの仕事でも共通していると思いますが、「人間関係」だと思います。同じ職場で働く方、仕事上お付き合いする方、接する患者さん、すべてが対象です。

6.この仕事にやりがいを感じていることはどんな時ですか?

  患者さんの悩みを払拭して「おかげさまでよくなりました」と言われるときです。また同じ歯科医師の後輩に症例の相談を受けて、指導後に「うまくいきました」と報告を受けたときにも喜びを感じます。さらに当医院のスタッフの実力がついてきたことを確認できたときも最高にうれしいです。

7.これからの医療はどのように発展してくれると嬉しいですか?

  現代の医療では術者側の利益が出る方向への治療や形態の進歩が一部にあります。「すべては患者さんのために」という原則から医療が始まれば、おのずと良い方向へ行くことこそが大切です。また、医療は細分化の方向に流れていっています。一芸に秀でることも大切ですが、常に体全体から診断できる医療人を目指してほしいと願います。さらに、患者さんが医者や薬に頼りすぎることも問題です。われわれのすべきことは患者さんが健康になることのお手伝いであり、患者さん自身が病気を治すんだという意思を持たせるように導く医療が最適だと思います。古くからある伝統的な医療と新しい技術が良い意味で融合して、より患者さんのためになる医療が定着すればいいですね。

8.医師になるため中学生の私たちが今からできることはありますか?

「医師になる」という目標があるからこそ、その途中にある高校受験に力を注ぐことができると思います。今自分がしていることは何のためになるのか?を考えて行動することが大切です。友達や先生、先輩や後輩すべての人が患者さんになりえます。自分が苦手なタイプの人にも優しく振舞えるようになれば、立派な医療人になれると思います。また、自分が健康でなければ医療人になって実力を発揮することが難しくなります。そのためにもスポーツに力を注ぐことは望ましいと思います。

医療の世界はすばらしい分野です。皆さん目標に向かってがんばってください。
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2012年09月18日

Vol.121「MEAW学会に参加して}

 まだまだ暑さが続いていますね!

 9月は2日が日本臨床歯周病学会(理事会)、9日が日本顎咬合学会東北支部会・認定医研修会、15,16,17日がMEAW研究会、23日が日本歯周病学会と、毎週学会へ参加しています…

 MEAW研究会の国際学会が横浜で開催されました。MEAWとはマルチループという特殊なワイヤーを使った矯正治療の方法で、非常に有効な手段の一つです。

120509左guide・山谷真理.jpg

今回は国際学会ということで、世界17カ国から歯科医師が集まり、それぞれの地域で行っている矯正治療について発表が行われました。

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 ブログでも何度かご紹介した神奈川歯科大学学長の佐藤貞夫教授が中心となり、このシステムが反映しているのですが、その佐藤教授の臨床を学ぼうと、世界から矯正科のドクターが集まってくるのです。それぞれの国のドクターが佐藤教授のコンセプトを中心に、症例の報告あるいは研究データを発表していましたが、やはり日本の先生方の臨床レベルが最も高かったと感じました。MEAWを使用しての治療法は適応範囲が広い上、治療期間が短いことが特徴です。当医院でもMEAWを用いた矯正治療が中心で、治療の終了した受付の菅原も、現在治療中の工藤もMEAWによる治療を選択しました。

 現在の矯正治療はストレートワイヤーテクニックといって、まっすぐなワイヤーを装着し、少しずつワイヤーの太さを太いものに変換していく治療が主流です。私もストレートワイヤーテクニックも使用しますが、かみ合わせの細かい表現が必要な場合、ダイナミックにかみ合わせを変更する場合などにMEAWテクニックはとても有効な手段です。

 中にはテクニックだけを模倣していて、形態だけを治していた先生も数名いましたので、テクニックよりもコンセプトが大事であることを改めて実感しました。

 3日間英語漬けの毎日でしたが、世界に仲間がいると感じることができたのも、学会に参加したよいお土産でしたし、発表する機会に恵まれれば、是非実現したいとも思いました。
posted by 副院長 at 17:27| Comment(0) | TrackBack(0) | '12ニュースレター

2012年08月27日

Vo.120「素敵な挨拶」

 残暑厳しいですね!でも7月が寒かっただけに、ほっとしている部分もあります。

 昨日は仙台三師会野球大会が行われました。仙台三師会とは仙台医師会、仙台歯科医師会、仙台薬剤師会の3団体が野球を通じて交流を深め合う場なのですが、我仙台歯科医師会は2連覇を成し遂げました(^^) 1戦目は関先生の満塁からレフトオーバーのヒットでサヨナラ勝ち、2試合目はその勢いで圧勝いたしました。

http://miyashi-baseball.sblo.jp/

 例年この大会はウェルサンピアで行われるのですが、今年は手違いもあって、泉区にある仙台商業高校のグランドをお借りして試合をすることになりました。さすがに公式野球部は強豪校だけあって、設備もすばらしかったのですが、びっくりしたのは生徒さんたちの挨拶です。我々選手(といっても40,50歳のおじさんたちですよ)がどこの誰かも知らないのに、会う生徒さんたち全員が立ち止まって、帽子を脱いで「こんにちは」と元気よく挨拶してくれるのです。野球部以外にも挨拶をしてくれた生徒さんが多かったです。同じ野球部の先輩、長谷剛史先生と「仙商の生徒さんたちは本当にすばらしいね!来年から高校野球宮城県大会は仙商を応援したくなったね」とお話していました。

 25日の土曜日、仙台歯科医師会の学術講演会で、札幌でご開業の中村順三先生をお招きしたのですが、そこでもたくさんの良い話を伺いました。中村先生は67歳ながら、現在も毎日7,8km走っていることもあり、パワフルで情熱的な先生です。講演会の最後、仙台歯科医師会から感謝状の授与を行いましたが、会長が感謝状の文章を読み上げている間、中村先生は、ずっと頭を下げて聞いていたのです。

 仙商野球部の挨拶も、中村先生の感謝状を受け取る姿勢も、心にジーンと来るものがありました。特に元気の良い挨拶は誰にでもできそうなことですが、自分が落ち込んでいるとき、忙しいときなど、心のこもっていない挨拶になることがありえると思います。そんな状況だからこそ、相手に最高の笑顔で挨拶を送ることができたらすばらしいですよね♪仙台商業高校野球部の皆様、中村順三先生、ありがとうございました。
 
posted by 副院長 at 19:35| Comment(0) | TrackBack(0) | '12ニュースレター

2012年08月07日

Vol.119「かみ合わせの重要性」

 七夕も中日、昨日は雷もなりましたが、天気もなんとか持ち直したようですね! 

 5日の日曜日は北九州でご開業の下川公一先生のご講演を拝聴しました。3年前にも仙台でご講演いただき、大変感激したので、今回の講演も楽しみにしていました。

 前半は歯科医師としての理念のようなお話が多かったのですが、後半はかみ合わせに関する症例の提示のオンパレードでした。かみ合わせが変わり、スマイルラインが整ったおかげで、見違えるような笑顔になった患者さんを多数紹介してくださいました。

 その中でも印象的だった言葉は「医者は患者さんの命を救う 歯医者は患者さんの人生を救う」とのことです。もちろん 虫歯1本の治療ではなく、体に変調をき たすほどのかみあわせだった方、歯並びにかなりのコンプレックスを持っていた方という意味です。


 昨日来院されたIさんもかみ合わせに問題のあった患者さんで、3年前に矯正治療を終了した女性ですが、現在娘さんにも矯正治療を受けさせたいとのことでした。娘さんは極端に顎が後方に入り込んでいるため、体は気道が狭くなることを避けようとして頭を前に出す習慣がついてしまったのではと説明しました。Iさんは姿勢が悪いのは単なる習慣だと思っていたのですが、話を聞いて納得されていました。Iさん自身も「治療前は常に食いしばっていたし、そのせいか肩こりもひどかった。当時はウツ傾向もあったが、矯正治療後はすっかり解決した」とおっしゃっていました。


 矯正治療はほとんどの場合かみ合わせが変わります。ということは治療前よりもかみ合わせが悪くなる可能性もあるわけです。かみ合わせに問題があるとすれば、どの方向にどのくらいずれているのかを術前に精密に検査しておく必要があります。当医院ではCADIAXという機械を使いながら、レントゲン、顎の運動の診査を十分に行った後、しっかりとした診断をした後、治療計画を立て、患者さんに説明して納得をしていただいた上で治療に入るシステムになっています。その診査は治療途中でも行い、最適なゴールを目指して進みます。治療後の患者さんの素敵な笑顔を見るために… 
posted by 副院長 at 17:17| Comment(0) | TrackBack(0) | '12ニュースレター

2012年07月03日

Vol.118「日本臨床歯周病学会 新人衛生士教育研修会」

 7月になりやっと夏らしくなってきましたね。楽天イーグルスも若手の台頭で調子を上げてきました(^^)
 
 7月1日の日曜日、日本臨床歯周病学会東北支部主催で、新人衛生士教育研修会を行いました。江澤支部長を筆頭に高野先生、鈴木道治先生、私とともに衛生士の人見さん、佐藤さん、菅野さん、志田さん、佐瀬さん、府金さん、早川さんの11人体制で、12名の受講者の方と歯周治療についてともに学びました。1日は2回コースの1回目で、今回の試みも初めてでしたが、皆さんのご協力でとても順調に経過し、初日を終えることができました。


 歯科治療において歯科衛生士の業務はとても重要です。特に歯周病に対する治療は衛生士が主体といっても過言ではありません。今回の対象は卒後3年未満の若手衛生士でしたが、この大切な時期にきちんとした基礎を学ぶことは、今後の衛生士活動を充実させるためにも重要なことです。

 主催者側としても学会の看板をしょっての研修会ですので、基本から外れることなく、統一した用語を使って、より臨床的な内容になるようミーティングを重ねました。

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(6月7日の現場ミーティング)

 受講生の皆さんも日曜日を削って参加してきただけに、意識の高い方が多く、開始30分前にはほぼ全員がそろうといううれしい悲鳴があがる状態でしたので、開始時刻を繰り上げてスタートしたおかげで、心配していた午後の実習を余裕を持って行うことができました。

 午前中は講義を行いました。

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(講義をする人見先生)

 午後は講義と実習、歯周ポケットの記録を見ながら、2人1組で治療計画を立てるプログラムもありました。

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(講師の鈴木先生、インストラクターの菅野さん、佐瀬さん)

12名を2組に分けて交互に実習したのですが、1組は口の中の写真の撮影とポケットの測定の実習を行いました。

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(指導をする高野先生、佐藤先生)


普段は歯科医師任せだった部分も、自分たちで考える実習でしたので、面食らった受講生もいたことと思います。「衛生士も歯科医師と同じ知識を持つ」という目標から、具体例を見ながら真剣に考えていたようです。

 私たち主催者側としても準備、運営する中でいろいろな気づき、学びがありました。自分の病院だけうまくいけばいいと考えるのではなく、間接的にも社会に貢献できればと考え、よりよい歯周治療を学会発信で広めることができればと考えています。
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2012年06月11日

Vol.117「木下晴弘さんの講演を聴いて」

久々のニュースレターです。いろいろなことが重なって、なかなか時間が取れませんでした…。

さて、6月9、10日の2日間、日本顎咬合学会へ参加してきました。昨年は震災の影響もあって参加できませんでしたので、2年ぶりの参加でした。仙台の月一会という勉強会からも、たくさんの仲間たちがエントリーいたしました。

http://www.ago.ac/30th/

今回は衛生士の工藤、佐藤も参加したのですが、だいぶ刺激を受けたようです。

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日本顎咬合学会は、幅広い分野の勉強ができる学会ですが、2日目のセッションの中に、かねてから興味のあった木下晴弘さんの講演があったので、途中からですが拝聴いたしました。

http://www.abtr.co.jp/

本学会の南理事長が推薦したこともあり、期待して聞いていましたが、予想をはるかに上回るすばらしい講演内容でした。「人に与えたものは必ず自分に返ってくる」「与え続けること」「与えた相手から返ってくるとは限らない」「返ってくることを狙ってやると続かない」など、なるほどと納得させられる内容ばかりでした。

エンディングにDVDが流れたのですが、感動秘話で会場中すすり泣きが聞こえていました。涙腺がゆるい僕も、隣にいた工藤に気づかれないようにと必死でした(笑)
とてもすばらしい内容なので、ご紹介したいと思います。



ある女性の教師と子供の出会い

先生が小学五年生の担任になった時、
どうしても好きになれない児童がひとりいた。

その少年は、一人服装が不潔でだらしなかった。中間記録に先生は少年の悪いところばかりを記入するようになっていた。

あるとき、少年の一年生の記録が目にとまったのである。

一年生・・・朗らかで、友達が好きで、人にも親切。勉強も良く出来、将来が楽しみ。

間違いだ。
他のこの記録に違いない。
先生はそう思った。

二年生・・・母親が病気で世話をしなければならず、学校に遅刻する。

三年生(一学期)・・・母親の病気が悪くなり疲れていて教室で居眠りをする
三年生(三学期)・・・母親が死亡。希望を失い、悲しんでいる。

四年生・・・父は生きる意欲を失い、アルコール依存症となり、子供に暴力を振るう。

先生の胸に激しい痛みが走った。
ダメと決め付けていた子が突然、
悲しみを生き抜いている生身に人間として、自分の前に立ち現れてきたのだ。

放課後、先生は少年に声をかけた。

「先生は夕方まで教室で仕事をするから、
あなたも勉強していかない?分からないところは教えてあげるから」

少年は初めて笑顔をみせた。
それから毎日少年は教室の自分の机で
予習復習を熱心に続けた。

授業で少年が始めて手を挙げたとき、
先生に大きな喜びが沸き起こった。

少年は自信を持ち始めていた。
それはクリスマスの午後だった。

少年が小さな包みを先生の胸に押付けてきた。後で開けてみると、香水の瓶だった。亡くなったお母さんが使っていた物にちがいない。

先生はその一滴をつけ、夕暮れに少年の家を訪れた。

雑然とした部屋で独り本を読んでいた。

少年は、気がつくと飛んできて、
先生の胸に顔を埋めて叫んだ。

「ああ、お母さんの匂い!今日はなんて素敵なクリスマスなんだ。」
六年生で少年の担任ではなくなった。

卒業の時、先生に少年から一枚のカードが届いた。

「先生は僕のお母さんのようです。そして今まで出会った中で一番素晴らしい先生でした。」

それから六年、またカードが届いた。

「明日は高校の卒業式です。僕は五年生で 先生に担当してもらって、とても幸せでした。おかげで奨学金をもらって、医学部に進学することができます。」

十年経て、またカードがきた。

そこには先生に出会えた事への感謝と
父親に叩かれた経験があるから、患者の痛みが分かる医者になれると記され、こう締めくくられていた。

「僕はよく五年生のときの先生思い出します。あのまま駄目になってしまう僕を救ってくださった先生を神様のように感じます。医者になった僕にとって、最高の先生は五年生の時に担任して下さった先生です」

 そして一年。届いたカードは結婚式の招待状だった。

「母の席に座って下さい」と一行、書きそえられていた。




posted by 副院長 at 14:50| Comment(0) | TrackBack(0) | '12ニュースレター

2012年03月30日

Vol.116「iaaidに参加して」

 平成24年度もあと1日です。震災から1年が経過して、生活が落ち着きを取り戻したと思いますが、未だ元の生活に戻れない方、ご家族を亡くされた方にはお悔やみ申し上げます。


 今年度は震災の影響もあって、例年ほど学会や勉強会に積極的に参加しませんでしたが、3月24,25日横浜で行われた、iaaid(国際先進学際歯科学会アジア部会)に参加し、ポスター発表を行ってきました。

http://www.iaaid-asia.jp/

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 昨年の3月に行われる予定だった当学会ですが、震災により中止だったのですが、1年後の今回改めて開催されたのでした。太会長の武井先生、実行委員長の小林先生には大変お世話になりました。

 現在私がもっとも師事している吉見先生率いる水滸会のメンバーからも7名がポスター発表を行いました。私自身は他院で小学生のころに4本の抜歯を伴って矯正治療を受け、当医院に来院当時もとてもきれいに歯が並んでいた患者さんに対して、異常所見を見出し、精密な検査を行った後、再度矯正治療を行った症例を発表しました。一見歯がきれいに並んでいても、顎の関節と調和しているとは限りません。また、歯並びが悪いからといって、必ずしも顎の不調和があるわけでもないと思います。シークエンシャル・オクルージョンのコンセプトにのっとって、適切な診査をしっかり行うことで、その方の最適な状態を診断できるのです。今回発表した患者さんはご主人の仕事の都合で東京へ引っ越されたので、吉見歯科医院に継続して通院していらっしゃいますが、現在も良好な状態を継続しているそうです。


 今回の学会であるスタディーグループで知り合った、若手の優秀な先生と再会しました。とてもきれいな仕事をされる先生ですが、気合をいれて仕上げたセラミックのきれいな症例が壊れて戻ってきてしまうことを経験されて、噛み合わせを真剣に学ぶ必要があると思い、この場に来たとお話されていました。我々の仕事は1芸に秀でているだけではだめなのです。その意味でもiaaidは総合的な診断を学べるすばらしい環境であると確認しました。このコンセプトが広く浸透していくことを期待しています。
posted by 副院長 at 13:23| Comment(0) | TrackBack(0) | '12ニュースレター

2012年03月12日

Vol.115「あれから1年」

 東日本大震災から1年が経過しました。被災したすべての方にお悔やみ申し上げます。仙台の街中はGWくらいからすっかり息を吹き返したように記憶していますが、沿岸部はいまだ瓦礫の撤去もされていないところがありますし、避難生活をされている方、放射能の問題から非難されている方、皆さん大変な思いをされていることと思います。

 歯科医師として震災への関わったのは、宮城県歯科医師会身元確認班の江澤班長、柏崎副長の指導の下、ご遺体の検視のための歯の記録を採る作業を7回ほど行ったことでした。一緒に作業をしていて自衛隊の方、警察官の方の奮闘振りに本当に頭の下がる思いでした。

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(江澤先生の文書が載っています)

また、宮城県歯科医師会学術委員会全員が医療救護班として、全国から集まってきた支援物資を県内に配置させるために、仕分け作業を行っていました。学会や勉強会の仲間、また各歯科医師会の皆様、業者の方からたくさんの支援物資を送っていただきました。心から感謝申し上げます。委員長の木村先生はGWまで毎日歯科医師会館につめていたことを思いだします。

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(毎週行われた救護班の会議)

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(何度も応援にきてくださった北海道医療大学チームの皆様)

大学の同窓会宮城県支部では、会員の安否確認に始まり、被災状況の確認、義援金の分配を相談するなど、村上会長の指揮の下、電話やメールを駆使して会員一人ひとりと連絡を取り合ったことが思い出されます。

 僕自身にとっては検視の作業はGWまで、支援物資の仕分け作業は7月くらいまで、同窓会に関しては少しずつ収束して現在に至っているというところですが、身元確認班の江澤先生、柏崎先生などは今でも週のうち半分以上県警に行かれている現状です。多くの皆様のおかげで震災前の生活を取り戻すことができていますが、ご家族や友人を失った方、家や職場を津波で失ってしまった方の無念さは計り知れません。決して忘れることのできない震災ですが、決してあきらめることなく前を向いて歩んでいくことが、援助してくださったすべての方への恩返しになりますので、3.11を忘れることなく頑張っていきましょう!
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2012年01月21日

Vol.114「理想的な噛み合わせを求めて その2」

杉山歯科医院のホームページはエントラストさんにお願いして作成、管理していただいています。

 http://b-entrust.com/

 エントラストのスタッフの方は皆さん若いのですが、とても気さくないい人ばかりです(^^) エントラストさんのおかげで、HPを見て噛みあわせの相談に来る患者さんがとても多くなりました。

 当医院に来る前にも何軒か歯医者で診てもらっている方が多いのですが、虫歯や歯周病と違って診断が難しいうえに先生によって診断がまちまちで、患者さん自身が戸惑うことが多いようです。私自身は7年前からシークエンシャルオクルージョンという概念に出会ってから、ぱっと目の前が開けるようになりました。点と点がすべて線に結びついた、そんなイメージでした。そして現在はその線がうまくクロスして、患者さんへの応用が幅広くなったように思います。
 
 昨年末に始めて来院した30歳代の女性の患者さんは「右の顎が痛い、目も耳もおかしくなってきた」という主訴で来院されました。丁寧な印象を受ける方でしたが、表情はどこか暗く、悩んでいるように見受けられました。さまざまな診査を行った結果、噛みあわせが低いことがわかり、精密なデータ採取から設定したマウスピースを昨日装着しました。

 その方の右の顎は口をあけるたびにカクカク音がして、痛みもあったのですが、マウスピースを入れて口を開いてもらったところ、音はまったくしなくなり、暗かった患者さんの顔がぱっと明るくなりました。

 当医院ではマウスピースを入れて治療に生かすことが比較的多いと思いますが、アキシオグラフという機器を導入してから、治療の適応症が格段に広がり、精度も比べ物にならないほどに上がりました。

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 噛みあわせの問題は他人にはなかなかわからないものです。私だって自分自身が経験をしたことがあるわけではないですから…でも多くの場合、診断と治療ができるようになったといえると思っています。歯科の治療は削る、つめる、歯を抜く、入れ歯を入れるだけでなく、とても奥の深いすばらしい分野だと感じています。
posted by 副院長 at 07:26| Comment(1) | TrackBack(0) | '12ニュースレター

2012年01月20日

Vol.113「理想的な噛み合わせを求めて」

 新年になり20日も経過してしまいましたが、あらためまして新年明けましておめでとうございます。

 皆さんは今年の目標として、どんなことを掲げたでしょうか?
 
 私自身は仕事上の目標としては「噛みあわせの治療を極める」ことです。この目標は5,6年前から変わっていないのですが、目標にしているだけあって、精度は格段にあがってきていると感じています。それは当医院のスタッフを見ていて感じるからです。

 当医院では歯周治療は衛生士が担当性になっているので、定期健診で患者さんが来院しても、その患者さんの口の中や健康状態をよく把握している衛生士が常に診るシステムになっています。衛生士のクリーニングが終わって、私が患者さんに挨拶に行くと、衛生士から気づいた点を教えてもらうことがあります。そのコメントというか洞察力がとても鋭いのです。歯科医師同士の勉強会で具体的な写真などを見ても、気づかないような点まで本当によく見ています。

患者さん:「歯と歯の間に虫歯ができた→衛生士:「フロスで磨いてくださいね」
患者さん:「歯がしみる」→衛生士:「知覚過敏の薬を塗りますね」

 よくある患者さんとの会話だと思います。もちろん当医院でもフロスの指導もいたしますし、知覚過敏の薬も塗ります。しかし双方ともその治療は対症療法であり、原因へのアプローチにはなっていません。スタッフはそれをわかっているので、原因へのアプローチを考えます。そこに大きく関与しているのが「噛みあわせ」なのです。我々は「咬合(こうごう)」と呼んでいますが、噛みあわせというと、一般的には顎関節症を思い浮かべる方が多いように思いますが、虫歯にも歯周病にも咬合は大きく関与しています。以前ご紹介しましたが、歯軋りとも深い関係があります。

 スタッフのレベルが高くなることは、そのまま医院のレベルが上がることにつながります。来院してくださった患者さんに対して、正確な診断と的確な治療、そして愛情を持って接していきたいと思っています。

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